顔の役割は?

日本顔学会理事で東大教授の原島博先生によりますと、顔の働きや役割は次のように分けられるそうです。

  1. 生存のための顔
    人間の生存に欠かせない作業を行う器官であり、また生命を守るセンサーが集中している場でもあります。
  2. 証明としての顔
    私たちは顔を通して個人を識別します。
  3. 道具としての顔
    コミュニケーションの道具です。表情を変えることで、相手に何らかのメッセージを送ることができます。
  4. 心の窓としての顔
    その時々の感情や、気分を表情によって知ることができます。
  5. 文化としての顔
    化粧や美容技術によって、その時代の文化を知ることができます。
  6. 存在としての顔
    自分を証明する存在そのものです。

顔の表情を作る顔の筋肉

顔にはさまざまな表情を作るための筋肉があります、顔の筋肉というと、咀嚼筋(そしゃくきん)と表情筋が思い浮かびます。咀嚼筋は生命の要、「噛む」ときに活躍します。しかし、下あごを動かすのは、噛むときばかりではありません。言葉を話すときや、歯をくいしばるときにもこれを動かします。

最近は、ストレスのために、顎関節症になる人が増えています。口にかかわる器官は、生命の要です。あだやおろそかにはできません。

 

側頭筋と工咬筋

翼突筋

次に「表情筋」です。私たちの顔には、数多くの表情筋があり、これがなければ、私たちは表情をつくることができません。基本的には、顔の筋肉は、自分の意思で動かすことができない、「不随意筋」でできていると言われています。唯一、意思のとおり動くのが「舌」です。もちろん、顔にもそれを動かす筋肉はありますから、動くのは動きます。でも、いろんな動きはできません。だから、表情をつくるのは難しいのです。

大切な「舌」のお話

唯一、意思のとおり動くのが「舌」ですが、この「舌」は実に重要な役割を持っています。ざっとあげますと。

  1. 歯と一緒に動いて、食べ物を咀嚼し、混ぜ合わせ、飲みくだすようにする。
  2. 舌には、味覚を感じる、特殊な感覚センサーがある。これによって、食物の有害、無害を識別します。そして、食欲を増進させ、滋養強壮に役立たせています。
  3. 唾液が出ることで、消化機能に加え、病原菌を殺す役割もあります。
  4. 言葉を発話するときに、重要な働きをもつ。

最近のお医者さまは、あまりやりませんが、昔は、病院にいくと、まずお医者さまから、「はい、べろを出して」と言われたものです。それは、お医者さまは、舌の状態を見るのです。舌には、その人の身体の状態が如実に現れるからです。

このように舌は、日頃の体調の変化を、敏感に反映させるものですから、時々は舌を見て、状態をチェックしてください。

リラクササイズでは、この大切な舌を利用した、秘伝・舌リラクササイズがあります。 「いい顔」のつくり方 にも、載っていますので、興味をもたれた方は、ぜひご一読ください。

日本顔学会のご案内

平成11年の7月31日から10月17日まで上野の国立科学博物館を皮切りに、大顔展が開催されました。 この展覧会には30万人を超える人が集まったそうです。

この顔ブームの立役者は「日本顔学会」です。「顔」を共通のテーマにして、さまざまな分野の研究者が集まり、 「顔のワークショップ」をはじめたのが1991年でした。そして1995年に「日本顔学会」となりました。 わたし自身、顔学会設立当時からの会員で、今は評議員として末席を与えられています。

しかし、学問的な貢献と言うと、恥ずかしながらたいしたことはやってませんので、罪ほろぼしに、 この場で顔学会を宣伝させていただきます。顔についての科学的、芸術的なことがいろいろわかりますので、 興味のある方はぜひ「日本顔学会」のホームページ http://www.jface.jp/ にアクセスしてみてください。

また、もう終了してしまいましたが、「大顔展」につきましては、 こちらのホームページ

http://www.kahaku.go.jp/special/past/kao-ten/point/index.html