顔の役割は?
日本顔学会理事で東大教授の原島博先生によりますと、顔の働きや役割は次のように分けられるそうです。
- 生存のための顔
人間の生存に欠かせない作業を行う器官であり、また生命を守るセンサーが集中している場でもあります。 - 証明としての顔
私たちは顔を通して個人を識別します。 - 道具としての顔
コミュニケーションの道具です。表情を変えることで、相手に何らかのメッセージを送ることができます。 - 心の窓としての顔
その時々の感情や、気分を表情によって知ることができます。 - 文化としての顔
化粧や美容技術によって、その時代の文化を知ることができます。 - 存在としての顔
自分を証明する存在そのものです。
顔の表情を作る顔の筋肉
顔にはさまざまな表情を作るための筋肉があります、顔の筋肉というと、咀嚼筋(そしゃくきん)と表情筋が思い浮かびます。咀嚼筋は生命の要、「噛む」ときに活躍します。しかし、下あごを動かすのは、噛むときばかりではありません。言葉を話すときや、歯をくいしばるときにもこれを動かします。
最近は、ストレスのために、顎関節症になる人が増えています。口にかかわる器官は、生命の要です。あだやおろそかにはできません。
![]() |
![]() 側頭筋と工咬筋 |
![]() 翼突筋 |
次に「表情筋」です。私たちの顔には、数多くの表情筋があり、これがなければ、私たちは表情をつくることができません。基本的には、顔の筋肉は、自分の意思で動かすことができない、「不随意筋」でできていると言われています。唯一、意思のとおり動くのが「舌」です。もちろん、顔にもそれを動かす筋肉はありますから、動くのは動きます。でも、いろんな動きはできません。だから、表情をつくるのは難しいのです。
大切な「舌」のお話
唯一、意思のとおり動くのが「舌」ですが、この「舌」は実に重要な役割を持っています。ざっとあげますと。
- 歯と一緒に動いて、食べ物を咀嚼し、混ぜ合わせ、飲みくだすようにする。
- 舌には、味覚を感じる、特殊な感覚センサーがある。これによって、食物の有害、無害を識別します。そして、食欲を増進させ、滋養強壮に役立たせています。
- 唾液が出ることで、消化機能に加え、病原菌を殺す役割もあります。
- 言葉を発話するときに、重要な働きをもつ。
最近のお医者さまは、あまりやりませんが、昔は、病院にいくと、まずお医者さまから、「はい、べろを出して」と言われたものです。それは、お医者さまは、舌の状態を見るのです。舌には、その人の身体の状態が如実に現れるからです。
このように舌は、日頃の体調の変化を、敏感に反映させるものですから、時々は舌を見て、状態をチェックしてください。
リラクササイズでは、この大切な舌を利用した、秘伝・舌リラクササイズがあります。 「いい顔」のつくり方 にも、載っていますので、興味をもたれた方は、ぜひご一読ください。
日本顔学会のご案内
平成11年の7月31日から10月17日まで上野の国立科学博物館を皮切りに、大顔展が開催されました。 この展覧会には30万人を超える人が集まったそうです。
この顔ブームの立役者は「日本顔学会」です。「顔」を共通のテーマにして、さまざまな分野の研究者が集まり、 「顔のワークショップ」をはじめたのが1991年でした。そして1995年に「日本顔学会」となりました。 わたし自身、顔学会設立当時からの会員で、今は評議員として末席を与えられています。
しかし、学問的な貢献と言うと、恥ずかしながらたいしたことはやってませんので、罪ほろぼしに、 この場で顔学会を宣伝させていただきます。顔についての科学的、芸術的なことがいろいろわかりますので、 興味のある方はぜひ「日本顔学会」のホームページ http://www.jface.jp/ にアクセスしてみてください。
また、もう終了してしまいましたが、「大顔展」につきましては、 こちらのホームページ
http://www.kahaku.go.jp/special/past/kao-ten/point/index.html